コンセプトは ”どうしたら面白くなるか?” 品質でもうけなさい どうしたら易しく面白くなるか
 もっと楽にならないか
5.3 見えない問題を掘り起こす 品質でもうけなさい《目次》
  プロローグ
T.品質とコストの考え方
ここまでの話は、気を付けてさえいればだれの目にも見える問題です。

しかし、それは下のような、文字通り氷山の一角に過ぎません。
実際には水面下の大きな利益の素を見落としているのです。
1. 問題のない会社はもうからない
2. 品質の良し悪しはコストでわかる
3. 品質保証とはどういうことか?
U.品質問題解決の進め方
4. 問題解決の効率化を図れ
5. 見える化で問題を共有する
5.1
5.2
5.3
5.4
データで把握しデータで語る
顕在している問題の詳細化
見えない問題を掘り起こす
成果目標を設定して公開する
6. 深堀りで解決の手掛りをつかめ
7. もうからない対策を立てるな
V.品質問題よろず相談事例
8. 品質問題よろず相談事例
9. レベルアップに必要な考え方

  エピローグ
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品質でもうけなさい…品質「補償」活動・「お祭り」品質管理に決別を!品質問題の本質と解決の考え方を豊富なイラストでやさしく解説します。
この目に見えない部分も浮かび上がらせて、大きな宝の山を手に入れましょう。
Dの問題…デリバリー/生産管理の問題について考えてみましょう システムからの発想…システム概念からのヒントなど
例えば、現時点では何の気配もなく静かに潜んでいて、
ある日突然目の前に現れて大暴れするような問題があります。

 こういう問題は、
 とりあえず被害を受けていないので、
 なかなか本気になって取り組もうとは
 しません。


 取り組むにしても設計部門や、
 現場以外のスタッフでないと、
 なかなか手に付きません。
改善提案名人に挑戦!


 ところが、いざ問題が顕在化すると、
 その影響を現場がもろに受けて
 しまいます。
このような見えない問題を掘り起こすのに威力を発揮する、
FMEA
failure mode and effect analysis:故障モードと影響解析)
という手法があります。

製品や生産工程について、
あらかじめ想定できる問題を可能な限り洗い出して、
未然に問題の芽を摘んでおくというものです。

FMEAは一時ブームにもなった手法で、
みなさんの中にもよくご存知の人がいると思います。
しかし、表の細かい体裁を整えるだけで息切れして、
肝心の改善活動への展開には至らないままに
資料が棚の奥でホコリをかぶっている例をよく見ます。
品質の改善手法というのは、
どうもこんなふうに形だけで目的を考えていないという悪い傾向があります。
FMEAを使って改善するのは結構ですが、その前にまず、
問題を発掘する意識を持ちましょう。
 そういう意識なしで
 かしこまった手法に飛びつくから
 目的がよくわからない資料作りに
 終わってしまうのです。
 問題を発掘する意識とは、

 こんなトラブルの種があると気付く
 注意深さ、洞察力・・・

 こんな不具合が起こるかもしれない、
 起きたら大変なことになると気付く
 想像力・発想力・・・

 それは、言わば問題の予知能力です。
 そのようになってから
 FMEAを展開しても遅くありません。
 というより、その方がFMEAを
 上手に使いこなすことができます。
 問題解決というのは、
 型にはまった手法でも
 教科書に書いてある方程式でもなく、
 最後は一人ひとりの発想力、
 アイディアの勝負です。
 そのアイディアを出すコツというのは、
 単に頭が柔らかいというだけでなく、
 目的を考える姿勢が大事なのです。
考える姿勢とは・・・
例えば、
いつも作業にムダはないか、
どうしたらもっと楽にできるようになるだろうかと考える姿勢・・・
これをモーションマインド
motion-mind)と呼んでいます。
有名なのはアメリカのギルブレスという人のレンガ積み作業の改善です。
 まもなく20世紀が始まろうかとしていた頃の話・・・。
 レンガ積み職人の見習いとなった若きギルブレス青年は、早く一人前になろうと先輩職人たちの仕事ぶりをじっと観察していたところ、もっと能率的なやり方があることに気付いた。そのアイディアを親方に話して実際にやってみたところ、1/3以下の時間でムリなく作業ができるようになり、2000年以上の伝統を誇るレンガ積み作業のやり方に一大変革をもたらした。
・・・というわけです。
ギルブレス青年はその後、
サーブリッグという動作分析の手法を編み出して、
IEの創始者の一人として歴史に名を残したことは、
みなさんもよくご存知の話。
みなさんにもギルブレスと同じように、
考える姿勢を持ってほしいわけです。
ここでは、
どうしたら問題を見つけやすくできるか、
パッと見てわかるようにできるだろうかと考える姿勢・・・
これをビジュアルマインド
visual-mind)と呼びます。
簡単な例で言うと、
会社では問題解決に限らず、
色々なデータを取って業務やマネジメントの判断に使っています。
明細のままのデータと
グラフや図に加工したデータと、
どちらがスピーディーな判断が
できるかといえば、
もちろん後者の方です。
このほかにも、
等々は、代表的なビジュアルマインドの例です。
ビジュアルマインドは
後述する問題解決の対策を考える
ヒントにもなります。
今から考える姿勢を身に付けて、
アイディアを出す練習をしましょう。
   ≪楽屋裏話≫
 低いレベルの会社は、とにかく顕在している不良・トラブルを最優先に解決しなければなりません。ところが、その苦労をあざ笑うかのように、ある日突発的に大きな不具合が発生し、工場全体がそれに掛かりきりになって、改善活動などすっかり忘られてやらなくなってしまうのです。
 いつまでたってもこの繰り返しで、なかなかレベルアップできないのがレベル0〜1の会社のつらいところ。
 しかし、突発不良を現場だけの責任にしていては、この悪循環を断ち切ることはできません。これを打破するのは、やはりマネジメントの力です。マネジメントが常に問題意識を持って品質を考えることで、問題を事前に回避できるか、あるいは被害を最小限に食い止められるかどうかが決まってくるのです。
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