コンセプトは ”どうしたら面白くなるか?” 品質でもうけなさい どうしたら易しく面白くなるか
 もっと楽にならないか
9.5 品質情報は共有の財産 品質でもうけなさい《目次》
  プロローグ
 社内ルールに従って形式的に死亡診断書から品質統計を行っているだけならともかく、しっかりと問題解決を進めていれば、不具合データも利用価値の高いものになっていきます。

 品質コストや不良率を単位期間当りで集計して、品質月報とか品質週報のようなものを発行するなんていうことは普通に行われます。システムを工夫すれば、速報版やリアルタイムで品質状況を把握することも可能でしょう。
 あるいは、データを編集して問題解決事例を参照できるようにしたり、問題発生の傾向から月間改善テーマを決めたりすれば、問題解決の活性化を図ることができます。「品質事件ファイル」とか「品質カレンダー」、「品質保証白書」のようにまとめるなど、データ活用のアイディアには事欠かないでしょう。
T.品質とコストの考え方
1. 問題のない会社はもうからない
2. 品質の良し悪しはコストでわかる
3. 品質保証とはどういうことか?
U.品質問題解決の進め方
4. 問題解決の効率化を図れ
5. 見える化で問題を共有する
6. 深堀りで解決の手掛りをつかめ
7. もうからない対策を立てるな
V.品質問題よろず相談事例
8. 品質問題よろず相談事例
9. レベルアップに必要な考え方
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品質問題における最大の敵
不良を作りたくても作れない
1個ずつ作るのが正解
生産管理が品質を管理する
品質情報は共有の財産
守りから攻めの品質管理
  エピローグ
おもしろがりホームページ
おすすめの
出し物
品質でもうけなさい…品質「補償」活動・「お祭り」品質管理に決別を!品質問題の本質と解決の考え方を豊富なイラストでやさしく解説します。
 ところで、このデータベースは、見方を変えれば他では決して手に入らない貴重な技術資料です。これを品質保証部の品質統計やキャンペーンだけに使っているのはいかにももったいないと思いませんか。

 例えば、なかなか真因が突き止められずにいる難解な問題があったとしても、蓄積された不具合データを検証すると、その問題が発生する傾向が見えてくるかもしれません。うまくすれば、問題発生前の異常サインを見出すことができるかもしれない。
 製造担当者がこのサインを捉えていれば、大火事になる前に問題を未然に防止することができるでしょう。恒久対策にはなりませんが暫定の対応としてはこれで十分です。

 例えば、生産の自働化が進み、高精度な生産設備が生産ラインの中心になっている職場では、設備のメインテナンスが重要になっています。
 不具合データの中にこのことを考慮した項目を設定しておけば、設備トラブルに起因した不具合の分析からその設備の信頼性、例えば、MTBFとかアベイラビリティといった信頼性指標を計算することができます。これに応じて、保全に必要な部品・材料のストックや、保全要員の確保、保全スケジュールなど、合理的な生産保全が可能になります。

 例えば、任意の設計諸元をキーワードにして不具合データを検索抽出するだけでも、設計資料として使えます。それを整理して文書化すれば重要な設計規格にもなります。
 不具合対策の設計への展開は、最も損失を少なくできる手段の一つですから、このようなデータ活用がムリなく行えるように、きちんと標準化しておくと良いでしょう。

 例えば、技術的に難しい未解決問題は、優先度の高い技術開発のテーマであることを示唆しています。
 こういう問題は、設計担当者にすれば普段から感覚的にはわかっていて、改めて言うまでもない問題だと思っています。ところが、研究開発コストや開発投資効果が見えないために、なかなか本腰を入れた研究には踏み出せずにいる場合が多いのです。
 不具合データは開発のニーズを、感覚ではなくてデータで示しています。しかも、コストで捉えていますから、関連するデータを集計していけば、自ずと開発投資効果の手掛りが見えてきます。あとは、8.4でお話したように、粘り強く問題解決に取り組んでいくだけです。
Dの問題…デリバリー/生産管理の問題について考えてみましょう システムからの発想…システム概念からのヒントなど
改善提案名人に挑戦!…がんばる現場リーダー上杉君の改善奮闘記
 不具合データ管理のシステムは、品質の問題解決には必須のアイテムです。
 したがって、最初から設計や保全への活用も考えたシステムを構築しておけば、なにもレベルが高くなるのを待たなくても良いのではないかという気もします。ところが、実際にはある程度データがたまってからでないとうまくいきません。
 必要と思われるデータ項目を想定しても、使い始めてからいろいろと実態に合わないことが出てきて結局使わなくなってしまうのです。出来合いの管理システムやパッケージソフトが使いにくいのはこのためです。

 また、早くからOA化に熱心だった会社は、データの使いやすさ、検索のしやすさなどに注意が行き届いて上手にデータベースシステムを作りますが、そうでない会社はコーディングの考え方一つにもなかなか馴染むことができません。こうした障害を取り除くための一定の期間も必要になってくるのです。

 レベルが低い間は、不具合データ管理に特化したシンプルなシステムにしておいた方が便利です。同様に、設計も生産保全も、最初はそれぞれの目的に合ったデータ管理を模索して標準化を図っていく方がうまくいきます。
Excel のような便利なソフトがパソコンを買えばただで付いてくるのです。大いに活用しなければ宝の持ち腐れです。
 焦って自動化に走る前にまず標準化を行うこと。
 オートメーションの鉄則です。
   ≪楽屋裏話≫
 今やIT技術なしで、経営管理など考えられない世の中です。多機能で便利なパッケージソフトがたくさん開発され市販されています。ここでお話したような導入の条件さえ整っていれば、どんどん利用するのが良いと思います。
 でも、
ExcelとかAccessといった汎用ソフトも、まんざら捨てたもんじゃありません。十分に使いこなせればシミュレーションやかなり高度な分析も可能ですし、なんと言っても安いのが取り柄です。
 筆者は
Excelで競馬予想システムなんていうのを作って遊んでいました。たまに大穴を的中することもあったんですよ。まあ、それよりも、これでExcelのノウハウや裏技を身につけた方が大きかったのですけれど。
 遊びながら学ぶ・・・身につけるコツです。
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