工場長左右田喜八のつぼやき | どうしたら易しく面白くなるか もっと楽にならないか |
喜八、求人難に悩む 1 | <喜八のつぼやき> | |||||||||
今年の新卒採用者が うちの工場にも二人 少子化で 若い人が減っているから というとそうでもない この不況の中どうしても 安定志向というか 有名企業や公務員に 志望が集中する うちのような 地味な中小企業に 応募してくる若者は ほとんどいないのだ |
プロローグ 喜八、円高に開き直る 喜八、累積債務に物申す 喜八、増税にほえる 喜八、求人難に悩む |
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おすすめの 出し物 |
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喜八、求人難に悩む 2 | ||||||||||
やむを得ず 不足の人員はパートや 契約社員、派遣などの 非正規雇用に頼っている 本当はできるだけ 正社員で採りたい・・・ |
多くの企業がコスト削減に 苦労しているというのに おかしな考えだと 思われるかもしれない それは過去の 苦い経験があるからだ |
[脚注] 非正規雇用 季節工、契約社員、派遣社員、嘱託、パートタイマー、アルバイト等の臨時的な雇用形態のこと。 |
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喜八、求人難に悩む 3 | ||||||||||
バブルがはじけて 一気に不況が来たとき どの企業もコストを抑えるため 新規採用を控えた 小泉構造改革で 規制緩和が進められて 製造業の非正規雇用が 認められるようになると その年代の人員は すべて非正規でやりくりした 支払いは安いし 福利厚生も要らず 使い勝手は良かった |
[脚注] バブル バブル景気の略。日本では1980年代から90年代の数年間に起きた。資産価格が実体経済と乖離して高騰し、好景気の後急に資産価格の下落が起こる様子が、中身のない泡(バブル)がふくらんではじける様子に似ていることから名付けられた。 小泉構造改革 小泉純一郎内閣(2001年4月〜2006年9月)が経済立て直しを目的として実施した郵政民営化や企業法の整備など、政治と経済の基本構造を改革する政策。 規制緩和 法律を改正して規制されている内容を変更すること。派遣労働については特定の技能について限定されていたのが、小泉構造改革以降は大幅に緩和された。 |
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喜八、求人難に悩む 4 | ||||||||||
が 非正規雇用は 工場には残らない その結果何が起きたと思う? その年代がポッカリ抜けた 人員構成になってしまった |
もし正規採用していたら 今ごろは一番脂の乗り切った まさにうちの技術をになう リーダーになっていただろう それがいないのだ |
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喜八、求人難に悩む 5 | ||||||||||
今の課長や職長の顔ぶれは 当時とほとんど変わらない その下は 離れた若い世代で 仕事の責任を持たせるには まだまだ経験と知識が 不足している 何が問題かって? オレたちと若手との 世代ギャップが大き過ぎて 固有技術やノウハウが うまく継承できないのだよ |
[脚注] 固有技術 物やサービスの設計・生産に関する技術。企業が提供する商品の元になる技術でその企業ならではの独自性がある。 ノウハウ 固有技術に関する情報・知識のことで、普通外部に対しては秘匿される。コツ。 |
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喜八、求人難に悩む 6 | ||||||||||
若いのは 教科書で習った理屈に頼る だから年寄りの経験を まともに聞こうとはしない マニアルさえ見れば 一丁前の仕事ができると 思い込んでいる だが マニアルに書かれてあるのは あくまで標準でしかない 実際の仕事というのは マニアル通りに 行かない方が多いのだ |
[脚注] マニアル 仕事のやり方・手順が示された手引き。取扱い説明書。 |
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喜八、求人難に悩む 7 | ||||||||||
壁に突き当たったとき 彼らは解決の手掛りを もっぱらインターネットに求める インターネットが 役に立たないとは言わないが ほとんどが基礎知識で 実戦ですぐ使えるものではない 先輩や上司の経験は 生きた応用知識だ それを伝えられないのは 頭の固い年寄りの側にも もちろん問題はある |
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喜八、求人難に悩む 8 | ||||||||||
だが コミュニケーションの取り方が 若い衆はお世辞にも 上手いとは言えない あるいは 仕事や職場に対する 価値観も違い過ぎる |
そのギャップを埋めるのが 空白の世代だったはずなのだ あのバブルの後 ムリしてでも採っていたらと 悔やんだところで後の祭りだ |
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喜八、求人難に悩む 9 | ||||||||||
オレたちの世代は 遅かれ早かれ工場を去る それまでに伝えるべきことを すべて伝えなければいけない それができなければ他社 とりわけ外国企業との 技術的優位がなくなる 同じ技術レベルで競争になれば 低コストの海外生産品には 到底太刀打ちできない 企業の存亡に関わる話なのだ |
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喜八、求人難に悩む 10 | ||||||||||
技術がある会社は 中小零細でも・・・いや 中小零細だからこそ 雇用意欲は高いと言える この低コスト競争の中で 生き残りたければ |
他の追随を許さない技術 市場に信頼される品質 ニッチを開拓する柔軟な発想 といった条件が必要だ これらは マンパワーなくして 支えることはできない |
[脚注] ニッチ 元の意味は西洋建築の壁の凹みのことで、転じて隙間や適所という意味になった。主要な産業や市場の陰で目立たないが、高い利益を生んでいる又はその可能性の高い部分を指し、ニッチ産業とかニッチマーケティングなどと用いられる。 品質 物・サービスの悪さのことであり、社会に対してもたらす損失のこと。 |
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喜八、求人難に悩む 11 | ||||||||||
うちの工場では 人を単なる頭数とは考えない 人は貴重な経営資源だ 利益を上げるために リストラだの海外移転だの あるいは雇い止めだのと |
資源をむやみに削ることしか 思いつかない企業が 疲弊するのは当り前 そんなことばかり 繰り返しているから いつまでも不景気なのだ |
[脚注] 経営資源 企業経営に不可欠な人材、製品、設備、資金を言い、ヒト・モノ・カネと言われる。最近はこれに情報も加える。 海外移転 国内にある生産拠点を、労働力が安く手に入る外国に移すこと。大幅な原価低減となる半面、固有技術流出と産業空洞化の原因となる。 雇い止め 期間の定めのある雇用契約で、期間満了時に雇用主が契約更新せずに従業員を辞めさせること。 |
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喜八、求人難に悩む 12 | ||||||||||
日本の雇用の 70%は中小企業が 担っていると聞いた その通りだ その70%のパワーこそが この国の経済を 立て直していくのだ |
オレたちも そう呼ばれたように 彼らはダイヤの原石だ 大切に磨かなければ |
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2012/4/13 ブログから転載 | ||||||||||
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