工場長左右田喜八のつぼやき | どうしたら易しく面白くなるか もっと楽にならないか |
喜八、円高に開き直る 1 | <喜八のつぼやき> | |||||||||
資材倉庫・・・ 以前は人の出入りも多く ゴチャゴチャしていた それをみんなで 先入れ先出しや配膳の改善を進めて 今はすっきりとしてきた だが、長期間使われずに 残っている部品があるかと思えば 必要なときにない部品もある まるで我が家の 冷蔵庫のようだ・・ 資材の手配は まだ問題が多い |
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喜八、円高に開き直る 2 | ||||||||||
資材調達の基本は 使うあてのない余計なものは 買わないことだ 値段の安さに惹かれて 何かに使えるだろうと買い置きしても ほとんどが長期の在庫になって 処分しなければならなくなる 必要なものを必要なときに必要なだけ・・・ 当り前のことだが 資材費を抑えたいなら これが大前提だ |
[脚注] 資材 物を作る元となる材料や部品のこと。 先入れ先出し 先に入庫したものを先に出庫して使うこと。つまり、古い物から出して使うこと。倉庫の保管物を良好な状態で回転させる方法。 配膳 必要な資材を製造場所に持っていって準備すること。 改善 悪い状態の問題を解決して良い状態にすること。 手配 必要な資材を調達するためにメーカーや販売店に注文を出すこと。 在庫 企業が保有する財産が部品や製品など物の形で留まっている状態。そのままでは新たな価値が生じていない状態の物。 資材費 物を作るときに必要な材料・部品にかかった費用。 |
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喜八、円高に開き直る 3 | ||||||||||
ただ、今は円高で 輸入材料の価格が下がって 部品ももっと安くなっているはずだ ところが思ったほどの 値下げになっていない 話を聞くと 原油や金属といった工業材は 輸出元の外国で高くなっているために 安くならんのだと 円高の恩恵なんてない と考えた方が良い |
[脚注] 円高 為替相場で相手国の通貨に対する日本円の価値が高い場合のこと。円高になると輸出品が相手国にとって高くなり、逆に輸入品は日本にとって安くなる。 |
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喜八、円高に開き直る 4 | ||||||||||
一方で輸出の多い企業は 円高は大きな打撃だから うちみたいな中小零細の取引先に 容赦なく値下げ要求をしてくる 資材費はもうギリギリだし 経費節減は高が知れている となると後はもう 人件費削減しかないのだが・・・ はっきり言って 人減らしするしかないんだったら うちの会社もお終いと 思った方が良い オレはそう思う |
[脚注] 経費 物を作るときに必要な費用の内、資材費と人件費を除いた費用。 人件費 物を作るときに必要な労働力にかかった費用。 |
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喜八、円高に開き直る 5 | ||||||||||
青二才の頃はオレも 金もうけが会社のすべてと思っていた 給料が増えるのは 理屈抜きでうれしかったもんだ だが、職長になって部下ができると みんなのうれしそうな顔を見るのが なによりの気分になった 部下が増えれば増えるほど そっちの方が 気分が良い・・・ そこがミソなんだ |
[脚注] 職長 工場などのひとつの職場の長。グループ長、班長など呼び方は会社によって異なる。 |
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喜八、円高に開き直る 6 | ||||||||||
みんなの給料が増えれば消費が増える そうなれば世の中景気が良くなっていく 会社っていうのは みんなが豊かになるために あるんじゃないか? そう考えると 人が余ったから さっさと辞めさせるってのは どうも本当の経営とは 違うんじゃないかと思うんだよ |
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喜八、円高に開き直る 7 | ||||||||||
ま、つぶれちゃっちゃあ 元も子もないが・・・ 利益を出すために コスト削減は必須だとしても その手段が リストラしか思い浮かばないのは 理念のない無能な経営者 としか言いようがない |
どんなに苦しくても こいつらの生活を守るために なんとかするのが 本当の経営じゃないか? |
[脚注] リストラ リストラクチャリング(restructuring)の略語。元々の意味は事業再構築だが、日本では単に人員削減の意味で使われる。 理念 事業・計画などの根底にある根本的な考え方。会社経営で言うなら会社の存在理由、究極の目的、アイデンティティ。 |
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喜八、円高に開き直る 8 | ||||||||||
とは言え 円高はまだまだ続く・・・ オレがガキの頃は 1ドル360円と決まっていた ニクソンショックの後 円は変動相場制となり 互いの国の経済力に見合った 通貨価値になるようになった 急激な円高なんて それ以来 ずっと続いていて 今に始まったこと じゃない |
[脚注] ニクソンショック 1971年ニクソン大統領が突然訪中して米中緊張緩和を打ち出したこと、金とドルの交換停止などの強硬なドル防衛策を進めたことの2つの事件を言う。ここで1ドル308円に切り下げられたが、固定相場制が維持できずに、2年後に変動相場制に移行した。 変動相場制 為替レートを固定せずに為替市場の需要と供給の関係に任せて自由に変動させる制度。フロートとも言う。 急激な円高_1985年時点で円高は250円程度まで進んでいたが、この年の先進5カ国蔵相会議(G5)で為替レートの安定化に関する合意(プラザ合意)がなされ、一気に150円台まで進んだ。それ以降、断続的な安定期を経ながら現在まで一貫した円高が進んでいる。 |
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喜八、円高に開き直る 9 | ||||||||||
要するに アメリカ経済が力をなくして その実力に見合った価値になるまで これは続くってことだ 1ドル70円?いや 60円50円だってあるかも・・・ 円高は当り前のことと 腹を括るしかない ジタバタしても ムダってのは こんな経済シロウトの おいぼれにだってわかる |
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喜八、円高に開き直る 10 | ||||||||||
よく見るがいい 円高円高と大騒ぎするのは 官僚や財界のおエライさんと その御用学者ばかりだ マスコミがそれをまた大々的に ニュースにするもんだから みんな萎縮して ますます景気が悪くなる 何度でも言う 円高はこれからも続くのだ 必要以上の不安を煽るより やるべきことがあるんじゃないのか |
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喜八、円高に開き直る 11 | ||||||||||
大きな会社は楽だよ 一時しのぎの為替介入を やってもらいながら 下請けにゃムリな値下げをさせて いざとなりゃ大量のリストラ だが その受け皿になるのは結局 オレたち中小企業だよ これまで凄まじい円高を 生き残ってこれたのは オレたちの犠牲があったからだ そこんとこ国は わかってるのかねぇ・・・ |
[脚注] 為替介入 財務大臣が円相場の安定のために外国為替の売買をすること。実際には日本銀行が代行する。急激な円高には円売りを、急激な円安には円買いを行う。 |
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喜八、円高に開き直る 12 | ||||||||||
おエライさんみたいに 泣きごとを並べている ヒマがあったら みんなで知恵を出して この苦境を乗り切るしかない それしかないのだ・・・ 知恵がないなら クソして寝ろ |
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2012/1/30 ブログから転載 | ||||||||||
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