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はしりがき
ごく普通に憲法を読み、ごく普通に戦後史を勉強すれば、今の政治の流れが戦前に向かっているのではないかと危惧するのは、自然な感覚だと思う。そのことを口に出しづらくなってきているのも事実だ。実際、そういう意見を述べて反発を食らったことがある。それも、ごく普通の若い人たちから。口に出しづらくなっていること自体が戦前回帰の傾向と言えないだろうか。
広島市長の平和宣言は、産経・読売・日経など政府よりのマスメディアでは、批判的な評価になりがちだが、筆者は共感を覚えずにはいられない。少しも過激ではないし、きわめて良識的な内容だと思う。実際に原爆が投下された場所のリーダーが過去の反省を踏まえて、しっかりと現実を見据えれば、今の世の中がどんどんきな臭くなっていると感じるのは当然のことだと思う。
この国が危ない方向に向いていると指摘した意見に対して、首相は「見解の相違」と言うだけでそれ以上のことを何も言わなかった。具体的に何も説明せず、たった一言だけで議論にケリをつけるのはこの首相の一番得意とするところだ。恐いのは、そういう首相ではなくて、その一言だけですべて納得してしまう国民の方だ。
今、国民の興味の重点はすでにイラク戦争や北朝鮮問題にはなく、高校野球に向いているのだろう。そう言えば、戦後の首相としては初めての始球式なのだそうだ。パフォーマンスは広島と長崎の合い間で催される。 |
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